孤独死はニッポンの新常識か、予備軍47万人−切れる家族の絆

  • 2013.02.22 Friday
  • 18:42
JUGEMテーマ:孤独死


  2月20日(ブルームバーグ):内田イト子(82)さんは、高齢になったら自分が育てたおいが世話してくれるのではないかと思っていた。おいが拒否したため、有料の身元保証人代行サービスに申し込み、介護施設の空きを待たざるを得なくなった。日本で内田さんのような介護施設に入居待ちの高齢者は42万人に上る。
世話する意思のある親族がいないため、内田さんは71万円を払って、介護施設への入居申請や身元保証を支援するサービスに申し込まなければならなかった。従来の儒教的な価値観が崩壊したことで、自宅で親族の介護を受けられる高齢者が減っている。これが内田さんも日本政府もしっかりした手も打ってこなかった末の現実だ。
世界で高齢者の割合が最も高い日本は、介護施設の建設が追いつかない状態だ。長期介護施設が不足しているため、高齢者が設備の整っていない施設に一人で暮らしたり、介護ストレスのたまった親族に虐待を受けるリスクが高まっている。
国際医療福祉大学大学院の高橋紘士教授は、「まだまだ社会が1970年代のシステムだと思っているうちに、現実はそれをはるかに超えて単身化や高齢化が進んだ。3世代が標準モデル、家族介護が永遠にあると思っているうちに現実はこうなってしまった」と話す。
高橋教授は高齢者介護への投資が増えなければ、日本では2030年までに47万人の高齢者が孤独死するとの見通しを示した。仕組みを劇的に変えない限り、社会やシステムは25年頃に崩壊するのではないかと語った。
60歳以上人口
世界保健機関(WHO)は、世界の60歳以上の人口が00年の6億500万人から50年には20億人に増加するとの見通しを示した。国連人口部によると、2040年にはシンガポールや韓国、香港、台湾でも、人口に占める60歳以上の割合が40%近くに達する見通しだ。10年現在の割合は14−18%。中国では10年の12%から40年には29%に上昇すると見込まれている。
内田さんの夫が亡くなった後、60歳のおいは内田さんの行政書類の手続きを手伝い、昨年病院に入院した際、身元保証人になると申し出てくれた。だが、おいの妻が割り込んできて手助けは止まった。おいは自身の息子に「自分だって世話になれないし、あてにされても困る、と言っていた」と内田さんは話す。現在、近所の老人ホームは21人待ちの状態だ。
内田さんは、特定非営利活動法人の四つ葉のクローバー協会にサービスを申し込んでいる。同協会は東京や神戸で約200人の介護施設への入居申請や身元保証を支援する。
明治学院大学社会学部社会福祉学科の河合克義教授は、「家族の変化でかつてのような親族や子供との付き合いが薄まってきている。近くにいない、労働力の流動化、それぞれ経済的な余裕がなくなってくると親族ネットワークも意図的に切らなくてはいけない」と指摘した。
高齢者の自立
公的レベルの対策も進んでいる。足立区では最近、高齢者の孤立や孤独死を防ぐため、民生委員や警察、地域住民の間で情報共有を可能にする条例が施行された。また、企業や慈善団体、自治体は高齢者のニーズに対応するサービスを取り入れている。マーケティング調査会社の富士経済によると、高齢者向け弁当宅配サービスは10年後に1060億円に倍増する見通しだ。
このような取り組みは一方で、高齢者の自立を促している。栗田利江さん(69)は、「私たちの世代は核家族で姑も家にいなくて、のんびり生きてきた。人生の最期に嫁の顔色をうかがわなくてはいけないなんてまっぴらだ」と話す。栗田さんの姑は8年前、自ら介護施設への入居を決めた。
栗田さんの夫は2年前に他界。現在は千葉に住む94歳の姑を2週間おきに訪ねる。自身については必要な時に有料支援サービスを利用したいと話す。「昔は親戚がやったことを金銭で解決する時代がきた。お金で解決できればいいと思う」。
原題:Dying Alone Becomes New Normal as Japan Spurns Confucius:Health(抜粋)

ブルームバーグ 2013/2/20
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