東日本大震災 震災関連死/防止策に地域再生の視点を

  • 2013.02.21 Thursday
  • 14:25
 東日本大震災の震災関連死について、根本匠復興相は本年度内に具体的な防止策を公表する考えを示した。
 「関連死」と認められたのは昨年9月末現在で2303人。うち半数の1121人が福島県に集中する。震災から1年を経過した昨年3月12日以降の関連死者40人のうち、35人は福島の被災者だ。
 深刻な数字である。復興相が防止策に言及したのも、なお15万7千人が避難生活を続ける福島の苦境を映したものだろう。
 だが、関連死者数が積み上がることが問題なのではない。
 関連死の数字は災害弔慰金の支給対象件数だ。日弁連が指摘する通り、災害がなければ命を落とすことがなかった人への「公的な弔慰金」という性格を持つ以上、できるだけ広く支給が認められるべきものだ。
 問題は、関連死の態様が医療機関の機能喪失や短期間で度重なる移動が原因となった「震災直後の死」から、生活再建の遅れが引き金となった「孤立した死」に変容しつつあることだ。
 防止策は、数多くの人が関連死に至らざるを得なかった経緯の分析にとどまるのではなく、今後の仮設住宅や災害公営住宅(復興住宅)での生活の中で、いかに被災者の孤立を防ぐかを重視することが大切だ。
 欠かせないのは、孤立防止とコミュニティー再生に向けた具体的な方策だ。
 1月末、郡山市から東京・江東区に自主避難していた40代男性の孤独死が報じられた。
 避難先では週2回の交流サロンなども開催されていたというが、世代や境遇による「見えない壁」はなかったか。
 昨年には八戸市にある雇用促進住宅で津波避難者の50代男性2人が、相次いで亡くなった。共に被災後に職を失い一人暮らし。年齢的に若く、積極的な公的ケアの網からは漏れていた。
 被災者の抱える悩みは千差万別だ。防止具体策といっても、一面的な法整備や拙速な制度づくりにとどまったのでは、新たな混乱を生じさせかねない。
 復興庁は被災者支援の課題として「見守り、心のケア、生きがいづくり支援」を挙げる。
 見守りは、時に被災者のプライバシーに深く踏み込んでいくことが求められる。人材の確保が課題だが、ケアする側も被災者であり、地元自治体だけで充実を図ることは難しい。
 復興庁は担い手となるNPOの経営強化支援を新年度から予定する。今から担い手を育成せざるを得ないこと自体に、事業の難しさがある。
 阪神大震災の復興住宅で昨年、61人が孤独死した。当初指摘されたコミュニティー対策の欠如は、今も大きな影を落とす。
 被災地の自治体は復興住宅入居に当たり、抽選の条件緩和など、旧来の地域居住者に配慮を進めている。阪神の教訓だ。
 被災者一人一人に寄り添い、「地域を元通りにすることを最重視」(石巻市の担当者)する視点が、復興に欠かせないことは言うまでもない。

河北新報社 2013年02月20日
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