飼い主の孤独死、認知症… 高齢化社会が抱えるペット問題

  • 2013.03.01 Friday
  • 10:54
 最新の調査によると、わが国の総世帯数は4668万4000世帯。そのうち65才以上のひとり暮らし世帯数は469万7000世帯で、ここ数年おしなべて増えている。また平成23年度犬・猫飼育実態調査によれば、犬・猫の飼育率は50才代が最も高く、次いで60才代となっている。

 つまり、“おひとりさま”でペットを飼っている高齢者が急増しているとみられるのだ。そしてそうした状況が問題を生じさせてもいる。孤独死した飼い主のそばで衰弱死寸前の姿で発見された犬。認知症の飼い主が、愛猫の病気に気づかず、とうとう死に至らせてしまったケース…。東京都家庭動物愛護協会会長で、須田動物病院の須田沖夫院長はこう説明する。

「全国の保健所に持ち込まれるペットの殺処分は以前より急激に減ったものの、依然年間約20万匹にものぼります。犬の問題行動や病気、転居が主な理由です。しかし最近では、核家族化が進み、ひとり暮らしの高齢者や高齢者夫婦が、長期入院となり飼えなくなったとか、飼い主が亡くなって、もらい手が見つからなかったという理由で犬や猫が保健所に持ち込まれるケースが増えています」

 問題の背景には、ペットの寿命が延びていることも影響している。

「例えば、犬の平均寿命は、30年前は4才でした。もちろん長生きする犬もいましたが、それよりも若いうちに感染症や栄養不良、事故により亡くなるケースが多く、平均すると4才程度になっていたんです。ところが現在では13〜14才。今は獣医療も進み、平均寿命は確実に延びています」(前出・須田院長)

※女性セブン2013年2月28日号

孤独死はニッポンの新常識か、予備軍47万人−切れる家族の絆

  • 2013.02.22 Friday
  • 18:42
JUGEMテーマ:孤独死


  2月20日(ブルームバーグ):内田イト子(82)さんは、高齢になったら自分が育てたおいが世話してくれるのではないかと思っていた。おいが拒否したため、有料の身元保証人代行サービスに申し込み、介護施設の空きを待たざるを得なくなった。日本で内田さんのような介護施設に入居待ちの高齢者は42万人に上る。
世話する意思のある親族がいないため、内田さんは71万円を払って、介護施設への入居申請や身元保証を支援するサービスに申し込まなければならなかった。従来の儒教的な価値観が崩壊したことで、自宅で親族の介護を受けられる高齢者が減っている。これが内田さんも日本政府もしっかりした手も打ってこなかった末の現実だ。
世界で高齢者の割合が最も高い日本は、介護施設の建設が追いつかない状態だ。長期介護施設が不足しているため、高齢者が設備の整っていない施設に一人で暮らしたり、介護ストレスのたまった親族に虐待を受けるリスクが高まっている。
国際医療福祉大学大学院の高橋紘士教授は、「まだまだ社会が1970年代のシステムだと思っているうちに、現実はそれをはるかに超えて単身化や高齢化が進んだ。3世代が標準モデル、家族介護が永遠にあると思っているうちに現実はこうなってしまった」と話す。
高橋教授は高齢者介護への投資が増えなければ、日本では2030年までに47万人の高齢者が孤独死するとの見通しを示した。仕組みを劇的に変えない限り、社会やシステムは25年頃に崩壊するのではないかと語った。
60歳以上人口
世界保健機関(WHO)は、世界の60歳以上の人口が00年の6億500万人から50年には20億人に増加するとの見通しを示した。国連人口部によると、2040年にはシンガポールや韓国、香港、台湾でも、人口に占める60歳以上の割合が40%近くに達する見通しだ。10年現在の割合は14−18%。中国では10年の12%から40年には29%に上昇すると見込まれている。
内田さんの夫が亡くなった後、60歳のおいは内田さんの行政書類の手続きを手伝い、昨年病院に入院した際、身元保証人になると申し出てくれた。だが、おいの妻が割り込んできて手助けは止まった。おいは自身の息子に「自分だって世話になれないし、あてにされても困る、と言っていた」と内田さんは話す。現在、近所の老人ホームは21人待ちの状態だ。
内田さんは、特定非営利活動法人の四つ葉のクローバー協会にサービスを申し込んでいる。同協会は東京や神戸で約200人の介護施設への入居申請や身元保証を支援する。
明治学院大学社会学部社会福祉学科の河合克義教授は、「家族の変化でかつてのような親族や子供との付き合いが薄まってきている。近くにいない、労働力の流動化、それぞれ経済的な余裕がなくなってくると親族ネットワークも意図的に切らなくてはいけない」と指摘した。
高齢者の自立
公的レベルの対策も進んでいる。足立区では最近、高齢者の孤立や孤独死を防ぐため、民生委員や警察、地域住民の間で情報共有を可能にする条例が施行された。また、企業や慈善団体、自治体は高齢者のニーズに対応するサービスを取り入れている。マーケティング調査会社の富士経済によると、高齢者向け弁当宅配サービスは10年後に1060億円に倍増する見通しだ。
このような取り組みは一方で、高齢者の自立を促している。栗田利江さん(69)は、「私たちの世代は核家族で姑も家にいなくて、のんびり生きてきた。人生の最期に嫁の顔色をうかがわなくてはいけないなんてまっぴらだ」と話す。栗田さんの姑は8年前、自ら介護施設への入居を決めた。
栗田さんの夫は2年前に他界。現在は千葉に住む94歳の姑を2週間おきに訪ねる。自身については必要な時に有料支援サービスを利用したいと話す。「昔は親戚がやったことを金銭で解決する時代がきた。お金で解決できればいいと思う」。
原題:Dying Alone Becomes New Normal as Japan Spurns Confucius:Health(抜粋)

ブルームバーグ 2013/2/20

東日本大震災 震災関連死/防止策に地域再生の視点を

  • 2013.02.21 Thursday
  • 14:25
 東日本大震災の震災関連死について、根本匠復興相は本年度内に具体的な防止策を公表する考えを示した。
 「関連死」と認められたのは昨年9月末現在で2303人。うち半数の1121人が福島県に集中する。震災から1年を経過した昨年3月12日以降の関連死者40人のうち、35人は福島の被災者だ。
 深刻な数字である。復興相が防止策に言及したのも、なお15万7千人が避難生活を続ける福島の苦境を映したものだろう。
 だが、関連死者数が積み上がることが問題なのではない。
 関連死の数字は災害弔慰金の支給対象件数だ。日弁連が指摘する通り、災害がなければ命を落とすことがなかった人への「公的な弔慰金」という性格を持つ以上、できるだけ広く支給が認められるべきものだ。
 問題は、関連死の態様が医療機関の機能喪失や短期間で度重なる移動が原因となった「震災直後の死」から、生活再建の遅れが引き金となった「孤立した死」に変容しつつあることだ。
 防止策は、数多くの人が関連死に至らざるを得なかった経緯の分析にとどまるのではなく、今後の仮設住宅や災害公営住宅(復興住宅)での生活の中で、いかに被災者の孤立を防ぐかを重視することが大切だ。
 欠かせないのは、孤立防止とコミュニティー再生に向けた具体的な方策だ。
 1月末、郡山市から東京・江東区に自主避難していた40代男性の孤独死が報じられた。
 避難先では週2回の交流サロンなども開催されていたというが、世代や境遇による「見えない壁」はなかったか。
 昨年には八戸市にある雇用促進住宅で津波避難者の50代男性2人が、相次いで亡くなった。共に被災後に職を失い一人暮らし。年齢的に若く、積極的な公的ケアの網からは漏れていた。
 被災者の抱える悩みは千差万別だ。防止具体策といっても、一面的な法整備や拙速な制度づくりにとどまったのでは、新たな混乱を生じさせかねない。
 復興庁は被災者支援の課題として「見守り、心のケア、生きがいづくり支援」を挙げる。
 見守りは、時に被災者のプライバシーに深く踏み込んでいくことが求められる。人材の確保が課題だが、ケアする側も被災者であり、地元自治体だけで充実を図ることは難しい。
 復興庁は担い手となるNPOの経営強化支援を新年度から予定する。今から担い手を育成せざるを得ないこと自体に、事業の難しさがある。
 阪神大震災の復興住宅で昨年、61人が孤独死した。当初指摘されたコミュニティー対策の欠如は、今も大きな影を落とす。
 被災地の自治体は復興住宅入居に当たり、抽選の条件緩和など、旧来の地域居住者に配慮を進めている。阪神の教訓だ。
 被災者一人一人に寄り添い、「地域を元通りにすることを最重視」(石巻市の担当者)する視点が、復興に欠かせないことは言うまでもない。

河北新報社 2013年02月20日

視点・論点「餓死・孤独死を考えるか」

  • 2012.04.21 Saturday
  • 10:55
弁護士 尾藤廣喜
 
1.最近、「餓死」、「孤立死」といわれる悲惨な事件の発生が相次いでいます。
 例えば、今年に入ってから見ても、1月12日には、釧路市で84歳の夫と72歳の妻の死亡が発見され、1月20日には、札幌市白石区で、42歳の姉が病死し、次いで40歳の障がいを持つ妹さんの凍死が、2月13日には、立川市で45歳の母親と4歳の障がいを持つ息子さんの死亡が発見されました。
 そして、その後も、2月20日、さいたま市北区、3月7日、再び立川市で、3月11日に東京都足立区、3月14日に川口市、3月23日に埼玉県入間市、東京都世田谷区で、そして、3月27日には、東日本大震災の被災地である福島県南相馬市で、それぞれ、複数の家族の「餓死」、「孤立死」が発見されています。
 このような「餓死」「孤独死」は、本来、あってはならない事件ですが、残念ながら、最近になって突然発生するようになったものではありません。しかし、今回の事態が改めて衝撃的なのは、短期間にあまりにも多数の「餓死」「孤独死」が集中して発生していること、また、1人だけではなく、2人以上の家族がともに生活されているにもかかわらず、そのご家族が相次いで亡くなられているところが、一層深刻な事態であることを物語っています。


2.それでは、なぜ、このような「餓死」「孤立死」が多発しているのでしょ うか。報道された内容を見てみますと、実は、それぞれの事件毎に、さまざまな要因がからみあっていると考えられます。
これらの事件の多発の背景には、(1)家族の変化、(2)地域社会の変化、(3)社会保障の劣化、そして、何よりも大きく、また、それぞれの事件に共通する要因として、(4)貧困の拡大があげられます。
そこで、その各要因を考えてみますと、まず、第1の家族の変化では、孤立状態にある高齢者や高齢者夫婦世帯が急増していることがあげられます。
  高齢者のいる世帯は、昭和58年には、全世帯の25%であったものが、平成20年には、36.7%にまで増加しています。そして、高齢者のいる世帯のうち、単身の高齢世帯が、昭和58年には、11.3%であったものが、平成20年には、22.7%と倍以上の割合となり、高齢者のいる夫婦世帯が、昭和58年には、16.7%であったものが、平成20年には、28.1%と大幅に増加しています。高齢世帯の「孤立化」が進んでいるのです。
  また、第2の地域社会の変化では、高齢者が多い地域として、いわゆる過疎地域とか限界集落と言われる地域とともに、東京都や大阪市などの大都市地域があげられます。このうち、過疎地域とか限界集落と言われる地域では、地域の関心や見守りが、ある意味で、比較的高いレベルにあるため、「餓死」や「孤立死」の発生は、今回は、それほど問題とはなっておりません。しかし、大都市地域の社会的つながりの喪失や「きずな」がなくなる状況は、極めて深刻です。
  そして、第3の社会保障の劣化は、高齢や障がいに対する年金の額が少なく、失業した場合でも、失業給付を受けることができる人の割合が20%程度しかなく、国民健康保険でも、2010年6月1日現在で保険料滞納世帯が436・4万世帯、全体の20.6%にものぼるという状態にあるなど、住民の生活を支える社会保障の仕組み自体が崩壊の危機に瀕していることを示しています。
  また、今回の事件の発生の最も大きな、そして深刻な原因となっているのは、「貧困」の広がりです。低所得者の割合を示す貧困率が平成21年には16%と最悪の数字を示しているほか、生活保護制度の利用者が、平成23年7月には、過去最多の205万人となるなど、住民の多くの人が、何らかの生活上のつまずきがあれば、「餓死」や「孤立死」に直結しかねない生活状況となっているいのです。
 
3.(1)これまで述べましたように、「餓死」「孤立死」の原因には、さまざまな要因が、複雑にからみあっています。私たちは、まず、それぞれの事件の原因を究明し、この分析の中から対策を考えて行かなければなりません。
  (2)そして、社会保障制度が、劣化して、生活を支える機能を殆ど失っている今日、最後のセーフティネットと言われる「生活保護制度」が、本来利用できる人の15%とか20%しか利用できていないことが、まず問題です。札幌市白石区の事件では、亡くなられた姉妹のうち、お姉さんが、3回にわたって福祉事務所を訪れ、生活保護の相談をしており、収入としてはわずかな年金しかなく、手持ち金もわずかであることを福祉事務所は十分に知っていました。にもかかわらず、福祉事務所が受け付けなかったという事実が浮かび上がっています。白石区では、昭和62年1月にも、今回と同じように福祉事務所で保護申請が受け付けてもらえず、餓死したという事件が発生しています。
  福祉事務所は、まず、違法な窓口での申請妨害をやめて、必要な人が必要な時に利用できる、そういう生活保護制度に変えていく必要があります。
  (3)立川市の始めのケースでは、行政の各部所が、手当ての申請手続きを受けつけていたり、ファミリー・サポートセンターなどさまざまな施策や事業で関与しておりながら、縦割りの対応に終始し、情報の共有と連携がなされていなかったことが、このご家族の「孤立死」を招いてしまいました。
  行政庁の内部で、お互いの部所の連携を強化し、情報を共有し、キーパーソンとなる部所が住民に「寄り添う支援」を実行しなければなりません。
  (4)また、多くの「餓死」「孤立死」の事件には、電気、ガス、水道などのライフラインがうち切られるという事態が先行する場合が少なくありません。このような場合、これらのライフラインがうち切られるという情報が、福祉を担当する部所に届けられ、速やかに適切な対応ができるようなシステムを確立することも大切です。
   そのためには、行政だけでなく、地域包括支援センター、民生委員やボランティア、さらには、民間の事業者が有機的に結びついた、地域の総合的な「見守り」のシステム化も重要です。生活問題で困ったときにはすぐ相談に乗ってもらうことができる「よりそいホットライン」という制度もありますが、まだまだ、知られておらず、広がってもいないので、地域毎にこれをより充実することも必要です。
  (5)根本的には、地域福祉を地域から再構築することが大切です。
  
  発生してはならない「餓死」「孤立死」の防止、根絶するためには、まず、これまで不幸にも発生してしまった1件1件の事件の原因を徹底的に究明し、その分析を十分に行ったうえで、地域から、国、自治体とともに、教訓を生かす努力を積み重ねて行かなければなりません。

NHK 2012年04月20日